広桃用水及び天狗岩堰両土地改良区は、約450年前の創設以来上毛の美田6,000haを潤していましたが、 取入口を利根川河川敷内に設けていたため、永年にわたって洪水との戦いに心血を注いできました。
こうした中で、取水方法を大きく変えるきっかけとなったのは、昭和22年カスリーン台風による大洪水でした。
この未曾有の台風によって広桃用水の取入口施設はことごとく破壊され、復旧は不可能となりました。
一方、広桃用水取入口から下流約1.6kmの、利根川右岸から取水していた天狗岩堰も同様の状況となってしまったことから、その復旧について両改良区で協議した結果、昭和23年坂東大堰普通水利組合連合を結び、合同の取入口を建設し、安定した取水が確保できるようになりました。
事業は、坂東橋上流約30m、左岸に、河川に並行して取水口(坂東大堰合口)を建設し、取水した用水を2本の隧道に分水し、一つは1,270m余りの広桃隧道、暗渠、開渠により広瀬桃木両川の分水点へ接続し、もう一つは16mの隧道を経て利根川を横断する堰堤の暗渠197mに接続、更に2,770mの暗渠及び開渠により旧天狗岩用水取入口に接続させるという大事業で、災害復旧事業として昭和23年10月に着工し、事業費2億1900万円を要し、同26年5月に完成しました。
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